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本、アニメ、映画の感想。時々まじめに物理。ごくたまに日記。

社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉を読む

人間は社会性動物であって、人間個人に対しての分析も社会抜きには語れない。一方、社会とは個人の集まりであって個人の性質抜きには社会を語れない。よって社会の分析である社会学と、個人の分析である心理学は分離して考えるべきではない。

と言うような話を、科学史や科学哲学、認知心理学比較文化人類学の用語や知識を使って導入しなら説明していくのが本書。

自分は科学、特に物理の人間なのでどれくらい勉強して書いているのか、多分野についてはわからなかったが、物理については「おっ」と思うこともあった。こう言ったいろんな分野の話を混ぜて分析って言うことを聞くと「本当にちゃんと勉強してんのか?聞きかじった内容しか書いてないんじゃないの?」と思うけど、物理に関しては、あのプリゴジンを出してきたのでびっくりした。プリゴジンっていう人は「散逸構造」という言葉を生み出した人で、平たくいうとカオスの研究者、語弊があるなぁ…、開放系の物理の研究者というべきだよなぁ。今の日本ではあんまり有名な人ではないかもしれない。そもそも、カオスとか開放系って、地味な研究分野だからあんまり人口に膾炙されてないんだよね。素粒子の方がドラマティックで盛り上がるし。

そうこうしているうちに本の返却期限が来てしまった。 残念。

02/10/2019 追記

プリゴジン知っているなんてすげえ、って思ってたけど、プリゴジンは自分で散逸構造の話を人文科学系に持ち込んでいたらしく、そういう意味で接点があったんだなぁ、ということがわかりました。浅学を痛感。

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