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本、アニメ、映画の感想。時々まじめに物理。ごくたまに日記。

未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学 を読む + アニメの話

政治って何だ

「政治」と聞くと、どうしても「権力闘争」だとか「忖度」だとか、はたまた「派閥争い」とかいった、きな臭くてうさん臭い話を思い出してしまうけれども、これはそう言ったいわゆる「政治」の話ではない。

ここで言う政治というのは、「人が集まって生活していくときの、意思決定の方法や考え方」のことを指している。

仙人みたいな人を除いて多くの人間は昔から集団を作って生きてきて、互いに相互互恵関係を結びながら(或いは結ぼうとしながら)四苦八苦している。そんな四苦八苦を昔の人はどうやって考えてきて、これからどうやって考えていこうか、という話を、女子高での講義を通して考えていこうというのが本書、だと思う。

自分みたいな理系出身で物理をやっているような人間だと、こういったある意味入門書的というか、読み物的な文章はすっと入ってきて読みやすかった。もちろんこれが初等的な内容だから、というのもあると思うけれも、高校生という「興味の有無で反応がぜんぜん違う」相手に話す時は、興味が尽きないようにいろいろな話を混ぜて戦略的に話すから、読んでる側も読みやすいのかもしれない。昔の人々がどういった視点でその思想や哲学を考えてきたかということを、問題提起とそれに対する議論を通して自然に導入されていく流れが、その先のちょっと難しい話を抵抗感なく受け入れる下地を作っていて、面白いと感じさせていた、気がする。他にも、啓発本と違って、問題提起だけで答えを教えることが目的ではない、というのも受け入れやすい点だったかもしれない。

細かい話では、第1講では最近巷で有名な「ファクトフルネス」で扱っているような、ニュースで聞く悪い話と、実は現在の世界で進歩していることについて話、一方でグローバル化に代表されるような新しい政治的な問題が起きている、どうやって考えていこうか。というように現在の問題、特にグローバル化について導入していく。

そうやって導入されたグローバル化の話を持ってきて、第2講の働くこと、とくに民主主義とグローバル化の話を展開していく。つまり、ロールズの正義論やマキャヴェリ君主論、トグヴィルのデモクラシーといった話を導入していって、その流れで民主主義の話を導入し、それが閉じた市場では実は資本主義とその意思決定が矛盾していなかった。しかしグローバル化によってそこに矛盾が生じてしまった、という話に入っていく。じゃあどうするよ、ってところで次の話題に入る。

次に第3講では、民主主義の話が出たけれども、そもそも意見の異なる他者と生活するにはどうしたら良いんだろうか、互いに意見が違う時、どういった議論の仕方がが良いのだろうか、という話が展開する。そこでヘーゲルだったりといった話が出てくる。自由な議論のためにはどうしたらよいのだろうか。とか。

というような流れで、第4講では選挙制度について第5講ではまとめ、という感じで本書は終わる。

こうやって書いてみると、自分の興味は前半3章までで、以降はちょっと飽きてきちゃった感が…。いやまぁ、最近の社会思想や政治哲学についての本をちょっと読んでみようかなっていうモチベーションが、伊藤計劃記録読んで触発されたからってのが理由だと思うんだけれども。ディファレンスエンジン読んでみてぇなぁ。今のところ政治哲学や社会思想のベーシックな話を理解しようとしている気がする。

ということで、読みやすく面白かった。 プリゴジンの話もしたいって言っときながら、全然読んでないけれども、次はプリゴジンの話をしたい。

アニメの話

かぐや様は告らせたい

ベタだけど面白い。構図的には「政宗君のリベンジ」的だけど、話のノリは、なんか「焼き立てジャパン」を思い出したけど、いや絶対違うでしょ…。

だれが何と言おうと、乙女的な可愛さ、ってのは現実に存在して、そういうある種女性的な可愛さをかぐや様は持っている気がする。一方で、会長は男の子的な馬鹿っぽさと実直さみたいなものを持っていて、これも愛されるキャラクター像になっている。マザーグースは言いました、男の子はカエルとカタツムリと子犬のしっぽ、女の子はスパイスと砂糖と素敵な物で出来ている、ってなかんじで、そういう性差が出ていてすげぇ萌える。逆にそういう素直なキャラクター設定だからこそ純粋なラブコメになっているのかもしれない。少年漫画雑誌に連載していそうな素直なラブコメ。そういう意味でも非常にベタな話で、だからこそ安心して見られるという感がある。いやまぁ、疲れているんで、「ドメスティックな彼女」みたいな話はちょっと胃もたれしちゃうんですよね...。おっさんなんで。

ガーリーエアフォース

こういうの好き。

いや、もちろん、どこか古き良きライトノベルの臭いが漂っているというか、ベタベタな準セカイ系みたいな如何にもラノベ的な話っていうのはわかる。今時じゃないっていうのもわかるんですが、いや、良い。これ自分の「ちょっとニッチなSF感」にマッチしてます。なんか戦闘妖精雪風読み直したくなってきた、とか言ったらぜったい神林長平ファンにぶち殺されるから声を大にして言えないけれど、そういうなんかちょっとカッコいい設定に感じてしまう自分の琴線にびんびん共鳴しちゃってます。とは言え、主人公、お前ラノベ主人公すぎやしないか。人間味が微妙に薄い気がするんだけど…。でも好き。どっちだよ。

残りのアニメ

また次回書こう、疲れてきた。