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本、アニメ、映画の感想。時々まじめに物理。ごくたまに日記。

2019-01-01から1年間の記事一覧

アイドルマスターシンデレラガールズ(2015) を見た

この物語は、笑顔だけが取り柄の女の子に、仲間たちが次々と進歩していく姿を見せて、「私に笑顔以外の何があるんですか」と泣かせる物語。 ではなく、「普通の女の子たちが自分の輝きを見つけるために一歩踏み出す物語」です。誤解しないように。 とにかく…

ジョーカー(2019) を見た

自身の生命活動を維持する最低限の共同体から孤立し、共同体に属する理由を失った人間の取る最後の行為は、今のところ二つある。 自殺か、他殺。しかも後者の場合は、恐らく大量殺人が好まれる。 どちらも、自らが存在する世界の破壊ではあるのだけれども、…

天気の子とCM

お盆休みで帰省した折、日清と天気の子がコラボしたCMを見た。 - YouTube で、これを見た時になんとも言えない薄ら寒さ、みたいなものを感じたわけだけど、その理由を考えるに、たぶん天気の子がマスに向けた作品ではないにも拘わらず、CMというマスに向けた…

天気の子 (2019)、を見た

事前情報を限りなくシャットアウトして見た後の感想は、下記ブログとほぼ同じで、「濃密なセカイ系を見せつけられた」って感じでした。 PS2版天気の子を俺たちは遊んだことが有る気がしてならないんだ。 - セラミックロケッツ! 映画館を出た廊下でひとしき…

インターステラー(2014) を見た

「プランクダイブ」と「あなたの人生の物語」と「2001年宇宙の旅」を足して3で割って掻き混ぜた、っていう映画 (ただし3作品は小説版を指す)。 アマプラの感想にいろいろ賛否あるけれども、じゃあなんでああいう感想群になってしまったのか、少し考えて、多…

イヴの時間 を見た

「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」 という一行からこの映画は始まる。アンドロイドが普及し、日常に溶け込む世界。その中で主人公の向坂リクオは、自身のアンドロイドで…

いま集合的無意識を、を読む

日曜日は神田の本屋に入り浸る。ただし天気の良い日に限る。 30分かけて徒歩で向かい、2時間ほど本屋を歩き回る。運動不足解消のためである。平日の大半は、椅子に座って机に向かってキーボードを叩いている。そうもしていれば腹回りが気になってくるわけで…

その数式、プログラムできますか? を読んだ

巷ではコーディングテストの類が人気を博し、様々なテスト対策が実しやかに囁かれている昨今、しかしアルゴリズムだけを勉強するというのには何故か興が乗らず、どうしたもんかなぁ、と思っていたらこんな本を見つけた。 原題``From Mathematics to Generic …

文系と理系はなぜ分かれたのか を読む

本屋の売れ筋ランキングで棚に飾ってあったところ、ちらっと手に取ってみたらそこそこ面白かったので読んでみた。 内容は「文系と理系という枠組みはいつ生まれたのか」そして「文系と理系の社会との関わり」について、歴史的、現代的な観点から議論している…

SICARIO (2015) を見た

悪を裁くのは正義だ。しかしその意味は、悪に対する対義語としての正義、という以上のものではない。もし、悪でないから正義である、という同語反復でしか正義を定義できないのならば、はたして正義を求めることに意味はあるのだろうか?悪に対する復讐は正…

動物行動の分子生物学 を読む

某図書館にてお勧めされていた本。最近とある事情で感情の科学についての興味がむくむく沸いていて、良い機会だからと借りて読んでみた次第。門外漢で戦々恐々としながら読み始めたのだけど、いや、結構面白い。 中身は動物の行動とその動物内で起きている分…

プリゴジンの考えてきたこと を読んだ

前々回ぐらいの記事で書いていたプリゴジンの話をすべく*1、我々はアマゾンの奥地に向かう代わりに北原和夫先生によるプリゴジンの伝記的な読み物である本書を読むことにした。もちろん、本当は「構造・安定性・ゆらぎ」とか「確実性の終焉」とか読むべきな…

未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学 を読む + アニメの話

政治って何だ 「政治」と聞くと、どうしても「権力闘争」だとか「忖度」だとか、はたまた「派閥争い」とかいった、きな臭くてうさん臭い話を思い出してしまうけれども、これはそう言ったいわゆる「政治」の話ではない。 ここで言う政治というのは、「人が集…

社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉を読む

人間は社会性動物であって、人間個人に対しての分析も社会抜きには語れない。一方、社会とは個人の集まりであって個人の性質抜きには社会を語れない。よって社会の分析である社会学と、個人の分析である心理学は分離して考えるべきではない。 と言うような話…

伊藤計劃記録II 読了

伊藤計劃のブログやエッセイなどを収録した伊藤計劃記録IIを読み終わる。 彼の社会やテクノロジー編深い洞察は、やっぱり勉強になる。 彼のブログ一つとっても(第二位相のこと)、適当に文章を書いているのではなくてきちっと彼の中の論理が解るように展開さ…

伊藤計劃記録Iを読んだ

伊藤計劃記録Iを読中。面白い。 やっぱ伊藤計劃は本当に天才だよなぁ。すごい。文章の醸し出す雰囲気が気持ちいい。文体もさるごとながら、知識や物の捉え方が普通とは違って読んでいて刺激になる。読んでいるこっちが何か書きたくなってくる。ってここまで…